嘔吐中に意識を失って倒れて顔面強打した。
確かにその数時間前から頭がぼーっとして目が回っていた。
小さい時にグルグル回って目が回った経験はあるだろうか？
それに近い感じだ。
まさか気を失うなんて。
洗面所まで間に合わないので、部屋にビニール袋を常に４〜５枚置いている。
使わなければゴミ袋になるだけだ。
化学療法を３年近くしている。
嘔吐なんて珍しくない。
しかし慣れたわけでもない。
朝の７時にはなっていなかったと思う。
いつも通り「あー来たな」と袋に顔を突っ込んだ。
どれくらいの時間があったかわからない。
ドスン。
ベッドから倒れる自分の音で意識を取り戻した。
母が慌てた顔してやってくる。
それから１時間もしないうちに吐き気が来る。
また袋に顔を入れる。
袋と同じ色で真っ白な状態になっていた。
痙攣で意識が戻った。
動ける身体ではないのに、跳ねるように背筋を伸ばして立っていた。
足下を見ると、結構な量の血が流れている。
あまり現状を把握できてないが、顔面を強打して流血してるらしい。
服にも血が付いている。
さきほど見に来た母は既に仕事に出ている。
１人で処理をしなければならない。
身体は動かない。
さっきあれほど跳ねるように動いたのは何だったのだろうか。
鏡を見ると、顔が傷だらけだった。
幸か不幸かメガネをしていたから目は守られたのだろうか。
舌の先を切ったようだが、歯は折れていない。
血だらけのメガネは捨てるしかない。
人生で顔面からこんなに血を流したのは初めてだ。
採決の血を見るだけでも苦手なのに１人しかいないので仕方なく血を拭き取った。
２回も意識を失う事は尋常ではない。
とりあえず母に２回の失神の事をメールで報告した。
すぐに折り返しの電話が来た。
病院へ行こうと言うが、とても動ける体調ではない。
様子を見て午前中に動くか決めると電話で言った。
にも関わらず、気が動転していたのか、母が仕事場から戻って来てすぐ病院に行くものだと思っている。
こういう時、患者以外の人間は早く処置しようと動こうとするが、当の本人は助けを必要とするくらいなのだから簡単に動けるわけがない。
その事を母にキツく言ったのだが、理解してない。
母と言っても世間的には前期高齢者だから「おばあちゃん」に理解させようとするのが無理なのかもしれない。
病院に行って即入院というのもどうかと思ったので、ためらっていた。
どらやら病院は処置に困ると入院をさせたがるようだ。
病院に着いてから救急車呼んでいいレベルだったと聞いたが、母の運転でいつものように病院へ向かった。
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