車の運転に懲りて極力外出をせずに自宅療養をしていた。
心配して電話をくれる祖父には大腸がんである事は言っていない。
2年前に祖母を胃がんで亡くし、娘である母も胃がんを患い、孫の
私が大腸がんと90歳の祖父に言えば、どれだけのショックを与えて
しまうかわからない。
隠し事は、いけない。
全てを言う事だけが優しさではない。
この板挟みです。
退院後4〜5日した後、昼食後に突然の腹痛に襲われました。
緊急入院した時の痛みに匹敵するくらいです。
手術をしたばかりなのに再発なのかという思いがありました。
歩くどころか立つ事もできません。
うずくまって1時間と少し。
痛みがなくなりました。
ゾッとしましたが、外来が来月あるので、それまで待とうと思いました。
元来の病院嫌いもありますが、退院したばかりで病院にまた行くのも気が
ひけるという思いもありました。
その夜、母に昼間に腹痛があった事を伝えました。
明日、必ず病院に行ってほしいと言われ、口論になりました。
私としては、この状況で一人で外を歩くのは怖いし、外来で待つ時間が
もったいない。1日平気で潰れるわけだから。
母としては少しでもおかしい点があれば、医師に相談するべきとの事。
母の言い分はわかるが、この体で歩いて行くのは私だし、外来で待つのも
私。
母は仕事に行くわけで、言葉悪く言えば、言うだけの立場だ。
私はそこに納得がいかずに口論になった。
母の意見が正しいのはわかるが、言うだけの立場は許せないのだ。
結局、次の日に外来に行った。
予約がないので、待つ事はよくわかっていた。
言うほど待たずに診察に呼ばれた。
私の痛む箇所は、腸の場所ではないらしかった。
恐らくは術後、傷口付近に癒着してしまったのではないかという見解。
ただ、1回事象が起きただけでは何とも言えないとの事。
続くようならば、また外来に来てほしいとの事。
しかし、腹痛よりも重い話を外来で聞く事になった。
検査結果が出たので話を聞いた。
ありえないくらいリンパ節転移があった。
摘出した47カ所のうち28カ所に転移が見られたそうだ。
10カ所弱であろうと術前に医師は思っていたそうだが、予想を大きく
超えていたそうだ。
私も血の気が引いた。
ステージⅢb だ。
(リンパ節転移4カ所以上)
がんの手術は広めに摘出する。
がんでない部分も取る事になる。
私の場合、広めに摘出したギリギリの箇所までガンがあったそうだ。
限りなくステージⅣに近いそうだ。
ただ遠隔転移(肺や肝臓など)が見られないそうだ。
抗がん剤の治療をする事になった。
5月の中旬の入院予定を1週早めた。
抗がん剤の副作用を見る為の入院だ。
治るのか治らないのかは聞かなかった。
愚問に違いない。
治ると聞いて治らなければ、医師を恨むだろう。
治らないと聞いて治れば、医師は信用できないと言うだろう。
「予備知識を入れておいてください」と抗がん剤の冊子を渡された。
帰宅した。
手術して1〜2ヶ月で社会復帰の予定は大幅に後ろに倒れる事になって
しまった。
・・・そう来るか。
これが感想だった。